血小板は出血を止める「血液凝固」に関する働きだけだと思われていましたが、組織損傷を修復するサイトカイン(成長因子)が豊富に含まれていることが近年分かりました。
自己多血小板血漿療法とは、血小板のこの特性を利用して、組織の創傷治癒を促進する治療法の事です。
獣医療でも最近この技術が確立され、さまざまなケースで使用されるようになってきました。
有糸分裂の誘発(治療における細胞数の増加)、血管新生(新しい毛細血管の形成)、他の増殖因子や細胞の調節に関係しています。
結合組織の治癒や骨再生における一般的な増殖分化に関係しています。骨芽細胞前駆細胞の走化性を高め、分裂を促進させ、さらにコラーゲン基質の合成を刺激することで創傷治癒および骨形成を促進させます。
実際に自己多血小板血漿療法を行う場合は、動物から採血を行い(約10ml)、そこから血小板を豊富に含む血漿(多血小板血漿)を分離します。分離した血漿をゲル化して患部に投与します。実際には以下の様な症例で使われています。
・骨折(癒合不全)
・皮膚再生(皮膚欠損)
・靭帯損傷 等
・自己の成分・細胞を利用しているため、免疫拒絶反応が出ない
・多血小板血漿をゲル状態にすることによって、血小板を患部に留まらせ、成長因子が徐々に放出され長時間作用する
・創傷の痛みの軽減 等